長かった梅雨もようやく明ける様です。
世界的な異常気象が報道される中、日本では日照不足による農作物への深刻な影響が出始めています。このことは当然海もプランクトンの発生不足としてボデーブローにつながると思われ、悩ましい限りです。それだけでなく夏物産業にも厳しい負をもたらしたまま、消費税増税に入ってゆくことになる展開です。 ラグビーワールドカップ、オリパラという大イベントを控えているとは言え消費の落ち込みが心配されます。
MEL にとっては、GSSI によるパブコメの月間に当たり、緊張感が続いた 7 月でした。この間、豊洲の仲卸の組合である東卸様が CoC 認証取得について取り組みを開始され、8 月 2 日にセミナーを開催することになりました。また、小売業では、イトーヨーカ堂様が CoC 認証取得のコンサルティングを受けられる等、オリンピック開幕を 1 年後に控え、動きがサプライチェーン全体に広がって来たことに手応えを感じています。
1.GSSI 承認関連
7 月 1 日から MELの申請に関するGSSI のベンチマーク委員会の審査報告書が Web 上に公開されパブリックコメント募集が始まりました。
アジアから初の申請だけに、世界的に関心が高く、現在までに多くの問い合わせを頂いています。内容としては、審査報告書の開示に関するものが多いと感じています。スキーム運営の透明性が問われていることの証左でしょうか。逐一対応させていただいていますが、これから、締め切りの 7 月 30 日にかけてコメントが集中するものと予想しております。8 月はバカンスのシーズンではありますが、GSSI は業務を続けることを確認しており、当然のことながら MEL も承認取得に向けての最終コーナーに気合を入れて集中します。
因みに、MEL が承認されますと、承認第 1 号の ASMI やグローバルスキームである MSC、BAP、ASC 等に、続く世界で 9 番目になります。
2.認証の審査に関して
認証取得に対する関心は一段と高まっており、審査機関の対応、特に審査報告書の作成と公開が遅れ気味となっています。原因は必ずしも審査機関にあるだけでなく、申請者の事業上の秘密を守るための調整に思いの他手間取っています。特に組織が多層化している事業者においてこの傾向は強い様です。更に、審査に入る前段階であるコンサルティングについても、CoC における多様な事業の実態が MEL の認証規格に詳細に反映されていないこともあり、1 件 1 件確認しながら丁寧に詰めています。申請者の皆様の「早く認証を出してよ」の期待に沿えておらず心苦しいところですが、国際的に認められたスキームとしていい加減にやらないために必要な時間であることをご理解いただきたいと思います。第 2 回の認証証書授与式が 7 月 26 日行われます(第 1 回は 3 月 6 日)。今回は、4 事業者の養殖認証 4 件、CoC 認証 3 件に認証証書が授与されます。結果、第 2 回認証証書授与式までの間に認証された分を含め、新 MEL 認証の総件数は、漁業認証 2 件、養殖認証 8 件、CoC 認証 9 件、計 19 件となります。養殖認証で初めて海藻(ワカメ)が決定し、ブリ、マダイ、ギンサケ、クロマグロと商品のバラエティーが揃って来たことで、特に CoC 認証取得の意味が大きくなっています。他に、審査終了、認証待ちが漁業認証 2 件、養殖認証 4 件、CoC 認証 4 件あり、目下コンサル中を含め秋には一段と充実するものと期待をしております。
3.海外への発信の状況
「世界に認められる」MEL を目指して、海外への発信に力を入れています。今月は長岡専務が、ロシアのサンクトペテルブルグで 7 月 10~11 日開催された「国際漁業フォーラム&シーフードエキスポ」において「海外に於ける水産資源の持続的利用ワークショップ」に参加し、MEL の活動と現状につき発表をしました。このフォーラムには日本からは蛯名釧路市長、釧路水産協会檜森専務、北海道機船連原口常務他が、ロシアからは全ロシア水産企業経営者協会ズべレフ会長他が参加されました。長岡専務の発表は大変関心を呼び、ロシアでも同様の活動が始まっており、是非情報提供や助言がほしいとの要請を受けました。
MEL ニュース 5 月号でご報告しましたが、須藤管理部長が参加、発表した中国の珠海で開催された「Global Aquaculture Summit 2019」においてもホスト国の中国から、MEL が進める方向に強い関心が示されました。この様に海外からの共感は、「日本発の世界に認められる水産エコラベル」を目指す MEL にとって心強い限りです。また、少し先の話になりますが、11 月にバンコックで開催される「日本発の水産エコラベルの海外でのマッチング活動促進のためのイベント」にも参加し、輸出を指向される皆様と共に現地の事業者との交流を深めたいと思います。これらの活動は、近い将来 MEL の考え方と仕組をアジアの皆さんと共有する上でも有効と考えており積極的に取組みます。
4.審査員研修
継続しております審査員の研修につきましては、本年は 9 月 25~27 日に 開催することで準備を開始しました。MEL のスキームが GSSI に承認されることで、MEL の信頼性を担保するためにこの研修の位置づけは一段と重要になります。今年は、新規の審査員養成と既に資格を持っておられる皆様のブラッシュアップを並行して、漁業、養殖、CoC の 3 分野で行うことになります。前回の事例から見て、受講者の皆様のかなりの人数が複数の分野を受けられることになると思われ、大仕掛けの研修となります。詳細のカリキュラムはこれから詰めてゆくことになりますが、出来る限り斯界の第一人者の外部講師をお招きし、質の高い研修会にする様関係者で練ってまいります。なお、3 月に開催しました「新規審査員養成講座」の合格者 33 名(審査員補の資格を授与された)も、正式の審査員になるためのフォローを積極的に行っています。
5.講習会関連
豊洲市場の仲卸の組合である東卸(東京魚市場卸協同組合)様より、MEL 認証について勉強したいと言うご要請があり、幹部の皆様と意見交換会を開催しました。お互いに意気投合し、トントン拍子に組合員だけでなく広く関係者で勉強会を持つことが合意され、8 月 2 日の 12:00 から「東卸国際化プロジェクト―輸出セミナー」のタイトルで開催することになりました。東卸の皆様は既に国際化や輸出を意識した勉強会を続けておられ、今回もその一環という位置づけです。東京都のご担当や大卸の皆様も参加されると伺っており、当初の想定を超えた広がりとなる様です。今まではとかく「何か役に立つの?」というイメージであった水産エコラベルに「世界の豊洲」の仲卸の皆様が積極的に取組まれる姿勢に正直驚くとともに、大いに力をいただきました。内容については東卸の事務局から具体的なご注文があり、対応を準備中です。結果は、来月号でご報告させていただきます。
6.イベント関連
本年の東京インターナショナルシーフードショーは 8 月 21~23 日に開催予定です。既に、主催者である大日本水産会からご案内が届いていることと思いますが、初日の 21 日に MEL 認証取得のための講習会の他、初めての試みとして「MEL 認証取得者と海外事業者とのマッチング商談会」開催を計画しています。今年の会場には増設された南展示場の 1 階および4階が当てられます。MEL のブースは 4 階の 3 ホール(ED28)にありますので、ご来場の節は是非お立ち寄り下さい(近くに北海道漁連様、東町漁協様、ヨンキュウ様他各県のブースがあります)。まだ試行錯誤の段階ではありますが、海外からはシンガポール、タイからの参加が予定されており、輸出を行っている商社の支援をいただきながら、MELのブースと一体化した認証取得事業者の展示と商談のためのスペースを設け、事業へのお役立ちにつながるイベントにするつもりです。
7.その他のご報告
かねてより、関係者の皆様から MEL の情報が伝わりにくいとの指摘をいただいており、対応として HP をより見やすくするための改修や「MEL ニュース」の発行等を進めて来ました。しかし、ご指摘は依然として続いており、 どの様に対応するのが良いか悩ましいところです。例えば、MEL ニュースはメルマガ形式で夫々の組織の登録された窓口の方にお届けしていますが、一部の組織では殆んど共有されていない事実も判明しております。そこで、夫々の組織内で共有する仕組みを構築いただくことをご検討いただけないか、お願をしております(7 月 19 日に事務局の須藤管理部長よりメールをいたしました)。MEL 事務局が、皆様の組織内の情報共有のためにお役に立てることがありましたら何なりと申しつけ下さい。
また、6 月に開催しました第 16 回理事会で承認いただきました「ロゴマーク使用・管理規程」改正に伴い、「ロゴマークの使用契約」の当事者が認証取得者と MEL になりました(従来は、認証取得者と認証機関)。認証取得者の皆様には 7 月 8 日付の文書でご連絡するとともに、契約の手続きを開始させていただいております。既に一部の認証取得者は手続きを完了しておられますので、ご多用中とは思いますが、MEL のロゴマーク付き商品の確かな流通のため、早目に対応いただく様ご協力をお願いします。
何十年ぶりという表現がメディアを賑わしています。漁業法の大改正も 70 年振りでしたが、最近ではアポロの月着陸から 50 年が話題です。月に行くという強い意志が実現させた偉業と言えると思いますが、地球環境や資源を守ることを人類に初めて提案した賢人会議「ローマクラブ」が生まれてこれまた 50 年です。今、皆様の地球環境や資源を守るという強い意志と行動は、間違いなく人類の未来を確かなものにすることにつながっていると感じております。MEL も皆様とご一緒に行動できることを誇りに思っております。
漸く夏が来るようですが、皆様の一層のご活躍をお祈り申し上げます。
以上